街中の少年たち

当記事が属するカテゴリ「過去旅」では、私が過去に旅した先の思い出をブログ・エッセイ形式で綴っていくものです。基本的には、かつて運営していたブログ(現在は閉鎖済み)で公開していたものを再掲しています。
今回の記事は、2022年11月にひょんなことからインドに1週間近く滞在することになった話。

表題の「街中の少年たち」というのは、インドで滞在した付近にて見かけた光景である。宿泊した場所は、住宅街の中にあり、犬だのオートバイだの車だの、よくわからない交通混雑状況だった。

信号なんてもってのほかだ。場所によっては下水の匂いが立ち込めている中で、移動式八百屋もあったり。そんな場所で1週間強と、滞在した。

インドの街並みは、日本の、洗練・整備されたそれとはかけ離れていたため、初めの3日くらいは刺激物の中に身を投げ打った感覚があり、体がなかなか慣れてくれなかった。

そんな中で、インドの少年たちを見ることがほんの少しの癒しになっていた気がする。

バイク少年

1人目は、初日に見かけた。

滞在したアパートの外をふらっと歩いていた時に、目の前で10歳くらいの少年が、200ccほどの大きさのバイクを豪快に乗り回していた。

少年の顔は、目をバッキバキに開いて、全力笑顔の白い歯が印象的であった。「ヘイヘイヘイ」と言わんばかりだ。

おそらく年齢的にも運転免許は持っていないだろう、いや、インドには運転免許というものは存在するのだろうか。わからない。

そういえば、インドでは近年の急激な自動車・オートバイの増加にともない、交通事故数も世界一と言われている。どうが、あの少年が事故に遭っていませんように。

タンクトップ少年

2人目は、3日目くらいに見かけた少年だ。

道沿いの、屋台らしきところで、6、7歳くらいの少年が机の上にあぐらを掻きながら、鉛筆を持って何か書いているようだった。

少年のそばには、髭の生えた少年の父親とその取り巻きがいて、その中で、黙々と何かを書いている。父親たちはとくに少年を気にしている様子はなく、取り巻きたちと談笑している。

時刻は午後2時ごろ。少年は少々気だるそうに書き続ける。おそらく宿題だろうか。

だけど、近くの小学校に通っている生徒は白いシャツの制服を着ている。しかし、その少年は、黄ばんで襟元がヨヨレヨレの、白いタンクトップを着ていた、というより、布を纏っていた、という表現の方が近いかもしれない。

そのときは、少年に対して特別な何かを感じたり、考えることはなかったのだが、もしかしたら、少年は学校に通っていないのかもしれないなぁと、今は思う。

あのとき、もし「インドはカースト制が根強く残っている」と、高校の地理の授業を思い出していたのなら、あるいはいく直前に何かしらの情報でそれを知っていたとするならば、そんなことを考えてしまう。

街中で見かけた少年たちを、哀れな目・同情の目で見てしまったのだろうか。あまり想像はしたくない。

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